2016年6月8日水曜日

嗚呼、二瓶さん・・なぜ?・・・


 二瓶博厚さんの個展を計画していた準備中であった。
突然の彼の死、1月に手術をして回復に向かっていたというのに街中での転倒であったという。
 二瓶さんを私どもの画廊におつれ下さったのは、東北大学名誉教授であられる伊藤邦明さんだった。留守電に何度もメツセージがあったのを随分たつてから気が付き電話したところ、友人が社会的な仕事を追えて以前から念願していた絵を描くことに専念し始めたので絵を見て欲しいとのこと、どうぞ、と言うことで日を改めて絵をみせていただいた。
 先ず、そのテーマが難民を描いた作品があり驚いた。
最近世界的な問題になっている、アフガニスタン、イラクなどの国の人々が政治的紛争のために、自国を逃れて国境を越えて他国に逃れ庇護を求める人々、、平和な日本では考えられないことが今世界各地で起きている。
 私の画廊で過去何回も取り上げた女流画家のケーテ、コルビッツ。彼女は1871年のドイツ帝国成立から第二次世界大戦までの激動の時期に生きたドイツの生んだ最も秀でた女流画家であった。主に素描と版画で制作し時代背景を表現的手法により、心情的共感を持って生涯描きつずけた画家であった。
 二瓶さんは今年も「棄民、海を渡る」3部作で上野の森美術館大賞展の賞候補になつたという。これは昨年描かれた作品で何れも100号の大作である。正に表現主義技法だと思う。ケーテ・コルビッツに繋がる何かを感じ、これもご縁かと思ったのが、二瓶さんの個展を手がけるきっかけだった。
 二瓶博厚個展は、悲しいことに追悼展になったが予定通り、531日~66日の会期で開催中である。同窓生や古い友人の思いがけない再会の場になったりして、毎日盛況である。ふっとなつかしさを覚える味わい深い二瓶博厚の絵を多くの方に見ていただきたいと願っている。あんなに楽しみにされていた二瓶さん、天国からご覧になっていますよね。